椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症の見分け方
- 鍼灸

椎間板ヘルニアの特徴
椎間板(ついかんばん)ヘルニアでは
腰や臀部(でんぶ)が痛み、下肢にしびれや痛みが出たり
足に力が入りにくくなったりします。
背中がどちらかに曲がって動きにくくなったり、
重いものをもった時に強い痛みが出たりします。
どんな病気ですか?
椎間板は、背骨の骨と骨の間のクッションのような働きをしてくれています。
背骨の背中側には脊柱管(せきちゅうかん)という空間があり、
この中を脳と手足をつなぐ、大切な神経が通っています。
ここに椎間板が飛び出て神経が圧迫されると、痛みを感じます。
あるべき場所から飛び出てしまう状態を「ヘルニア」と呼びます。
しかし、例え椎間板が飛び出ていても、炎症が生じていなければ痛みや痺れは起こりません。
多発する部位は、腰椎4番5番です。
つまり、ちょうどウエストのあたりです。
痛みがひどい場合は、眠れないほど痛むようです。
同じ腰の痛みでも、ぎっくり腰には手足の痺れが伴わないことで、見分けられます。
原因は?
腰に負担がかかる作業が原因とも考えられますが、
特に思い当たることがない人にもみられます。
喫煙の習慣が関係しているとも言われています。
20〜40代の男性に多いようです。
対処は?
仰向けになり膝を伸ばした状態で足を持ち上げ、坐骨に痛みが生じないかを見ます。
また、咳やくしゃみによっても、下半身に痛みと痺れが走ります。
正確には、レントゲンやMRIで診断します。
炎症が起き、神経が腫れていますので、痛みが強い時は安静にします。
コルセットや消炎鎮痛剤の内服、座薬などにより、痛みを和らげます。
椎間板ヘルニアの症状は自然経過や保存的加療によって
80%~90%が改善するようです。
当院では、神経の炎症による痛みなのか、その周りの筋肉の凝りが痛みの原因なのかを見極め、筋肉の凝りが原因のヘルニアに対しては施術を行っています。
脊椎起立筋や多裂筋を緩めることで改善する事が多いですね。
重症の場合の見分け方
神経の腫れにより力が入らず、筋力が低下します。
- つま先立ちで歩けない。(左右差がある)
- かかとで歩けない。(左右差がある)
などがあります。筋力の低下が強く見られる場合は、手術も視野に入れての専門医の受診をお勧めします。
脊柱管狭窄症の特徴
腰部脊柱管狭窄症(ようぶ-せきちゅうかん-きょうさくしょう)では、腰痛はあまり強くありません。
腰から下の下半身に、痺れや痛みが生じます。
(頚椎に生じた場合は、下半身だけでなく手も痺れたり、手足がうまく使えなかったり・といった運動機能の障害も見られます)
安静にしているときは症状が出ないのですが、
立とうとした時や歩いている時に、太ももやひざ下にしびれや痛みが出て歩けなくなります。
しばらく安静にすると痛みが薄れ、また動き出すと痛くなるという特徴もあります。
どんな病気?原因は?
加齢、労働、背骨の病気による影響などで椎間板が変形する、あるいは、背骨や椎間関節から骨が突び出ることにより、神経が圧迫されて痛みや痺れが起こります。
脊柱管とは背骨、椎間板、関節、黄色靱帯などで囲まれている空間です。つまり、脊髄の神経が通るトンネルです。
年をとると背骨の変形や、椎間板が膨らむことにより、黄色靱帯が厚くなる場合があります。
それによって神経の通る脊柱管が狭められ(狭窄)、神経の圧迫と血流量低下により、脊柱管狭窄症が発症します。
椎間板ヘルニアよりも、中高年の方の発症が多く見られます。
対処は?
背中を後ろに反らすと脊柱管が狭くなり、症状が強く出ます。
ですから、前かがみになったり腰をかけたりすると、しびれや痛みは軽減されます。
レントゲンか、さらに正確に診断するために、MRIや脊髄造影などの検査が必要とされています。
(神経ではなく、下肢の動脈の圧迫による症状である場合もあるからです。)
- 姿勢を正しく保つ
- 杖やシルバーカーを押して、少し前屈みになると楽に歩ける
- 自転車も痛みが出にくい
- コルセット
重度の場合は日常生活にも支障が出ますので、手術を勧められる場合があります。
そうなる前に、コルセットで腰を保護したり、腰回りの筋力を維持することで症状を緩和するためのストレッチやリハビリを行いましょう。
つらい症状がある場合には自己判断をしたり無理に痛みを我慢したりせず、まずはご相談ください。